BeatMagジャンル解説シリーズ:UK Garage 編

UK Garage(ユーケーガラージ)は、1990年代のロンドンで誕生し、ハウスのグルーヴにUK特有のスウィング感やソウルフルなヴォーカルを融合させたジャンルだ。2-StepやSpeed Garage、UKGリバイバルなど、時代ごとに姿を変えながらも、常にクラブカルチャーの重要な位置に存在し、最近では日本でも流行中。ここでは、その魅力と歴史、そして現行トレンドをわかりやすく紹介していく。

UK Garageとはどんな音楽か?

UK Garageは、ハウスを基調にしながらも、リズムが“跳ねる”のが最大の特徴。キックは4つ打ちではなく、一定のテンポでドン・ドンと鳴る4つ打ちとは違い、スネア(スパッという打音)が少しずらして入ることで、独特の跳ねたノリを生み出すリズムが多く、BPMは130前後。シャッフルしたハイハット、サブベース、ヴォーカルサンプルが絡み、“浮遊感”と“抜け感”を両立させる。今のシーンでは、UK Garage/2-Step/Speed Garage/Future Garageなどの派生形が並走しており、再び若い層を中心にクラブやTikTokで人気を集めている。

簡単な歴史

  • 1990年代前半:アメリカのGarage Houseをベースに、UKロンドンのDJたちが独自進化
  • 1990年代後半:2-StepとSpeed Garageが誕生、Craig DavidやArtful Dodgerがメインストリーム化
  • 2000年代:Grime、Dubstepなどを派生させつつ一時停滞
  • 2010年代:Future Garageが登場し再注目
  • 2020年代:UK Garageリバイバルが到来。Fred again..、Sammy Virjiら新世代が再燃を牽引

サブジャンル一覧

比較的歴史が浅いUK Garageでもジャンルは様々。以下にそれぞれのジャンルと代表的な一曲と有名アーティストを紹介。

  • 2-Step Garage:Artful Dodger – Re-Rewind ft. Craig David (1999)
    代表的アーティスト:Artful Dodger(イギリス)/Craig David(イギリス)
  • Speed Garage:Double 99 – RipGroove (1997)
    代表的アーティスト:DJ EZ(イギリス)/Armand Van Helden(アメリカ)

Future Garage:Burial – Archangel (2007)
代表的アーティスト:Burial(イギリス)/Jamie xx(イギリス)

  • UK Garage Revival / New UKG:Sammy Virji – Moonlight (2023)
    代表的アーティスト:Fred again..(イギリス)/Sammy Virji(イギリス)/Interplanetary Criminal(イギリス)

世界のUK Garageが日本へ:再評価の波

ここ数年、UK Garageは日本のクラブでも急速に再注目されている。UK音楽シーンの重鎮・Fred again..の初来日の影響や、UKのSammy Virji、Interplanetary Criminalの世界的ヒットを受け、国内DJもGarage/2-Stepをセットに組み込むケースが増加。

特にWOMB、ZERO TOKYO、CIRCUS TOKYOなどでは、Tech HouseやDrillと並ぶ形でUK Garageパーティーが開催されたり、世界中で人気のイベントで、DJプレイ動画も高い再生数を誇るBoiler roomでUK Garageが扱われるシーンが増えたことから、若者人気が拡大した。

BeatMagでも今後、UK Garage系イベントや来日公演を継続的に追っていく予定だ。
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今アツいUK Garage

近年のUK Garageシーンを象徴するキーワードは、ハイブリッド化/ベースの深化/再解釈だ。ここでは今の時代に沿った編集部おすすめのUKGを紹介。

トレンド①:New UKGの爆発

代表曲例:Sammy Virji – If U Need It (2023) — ベースの太さとスウィングするリズムを両立させた、新世代UKGの代表格。

Sammy VirjiやInterplanetary Criminalは、フェスでもTech Houseと並ぶポジションを確立しつつあり、クラブのフロアを温める役割で欠かせない存在になっている。

トレンド②:Garage × Bassline / Tech Houseの融合

代表曲例:Disclosure – Higher Than Ever Before — Basslineの重低音とGarageのシャッフルを掛け合わせたハイブリッド。

UKではこの“Bass-Driven UKG”がメインストリーム化しつつあり、海外フェスのメインステージでも鳴らされるほど。を熱くしている。

トレンド③:Future Garage的没入サウンド

代表曲例:Overmono – Good Lies (2023) ー エモーショナルなコードとブロークンビートが融合したFuture Garageの進化系。

リスニングにも耐えうる繊細な音作りで、クラブ以外のリスナー層も拡大している。

まとめ

UK Garageは、“跳ねるグルーヴ”と“ソウルの余韻”が共存するクラブミュージックだ。デトロイト・ハウスをルーツに、ロンドンで進化し、いまや新世代UKGとして世界のフェスでも再評価が進む。日本でも再びUKの風が吹き始めており、そのムードはクラブにもSNSにも広がっている。時代が変わっても、UK Garageが持つ「スウィングするグルーヴの中で踊る快感」は、決して色褪せない。

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