BeatMagジャンル解説シリーズ:BASS MUSIC 編

BeatMagジャンル解説シリーズ:BASS MUSIC 編

BASS MUSICは、2000年代以降のクラブサウンドを大きく変えたジャンルである。

重低音(Bass)を主軸にした音作りが特徴で、Dubstep、Trap、Drum and Bassなどの多様なスタイルへと発展し、現在ではTikTokやフェスを中心に再び熱を帯びている。

ここでは、そんなBASS MUSICの基本や歴史、主要サブジャンル、そして最新トレンドをわかりやすく紹介していく。


BASS MUSICとはどんな音楽か?

「Bass Music(ベースミュージック)」とは、低音を中心に構築されたクラブミュージック全般を指す。

強烈なサブベース(超低域の音)やキックで体を震わせるような音圧を生み出し、クラブやフェスでの爆発的な盛り上がりを演出する。

基本的なBPMはジャンルによって異なり、Dubstepは約140、Trapは70〜150、Drum and Bassは170前後

特徴的なのは「ドロップ(Drop)」と呼ばれる構成で、ビルドアップ(盛り上げ)から一気に低音が炸裂する瞬間が最大の見せ場となった。

現在のBASS MUSICシーンは、攻撃的なハードサウンドからメロディックで浮遊感のあるタイプまで、幅広く進化している。


簡単な歴史

  • 1990年代:UK Garageの台頭 イギリス・ロンドンで「UK Garage(UKガラージ)」が流行。ここから低音重視の流れが生まれた。
  • 2000年代前半:Dubstep誕生 南ロンドンやアメリカでSkrillexやBengaらが重低音を極端に強調したサウンドを発展させ、Dubstepが誕生した。
  • 2010年代:Trapの勃興 アメリカ・アトランタ発祥のヒップホップがEDMと融合し、Festival Trapが誕生。クラブやフェスの定番となった。
  • 2015年代〜:Hybrid化とDNB復権 Dubstepにメロディやボーカルを取り入れたMelodic Bassが流行。同時にDrum and Bassが再び注目を浴び、SNS世代にも支持を拡大した。
  • 2020年代〜:SNSとBass Rebirth TikTokやYouTubeでBass系リミックスが拡散。若者の間で「体感する音楽」として再評価されている。

サブジャンル一覧

BASS MUSICと一口に言っても、その中には多くのジャンルが存在する。

それぞれの特徴と代表的な一曲・アーティストを紹介しよう。


◦ Dubstep

代表曲:Skrillex – “Bangarang” (2011)

代表的アーティスト:Skrillex(アメリカ)/Zomboy(イギリス)

▶ うねるベースと無音を生かした構成が特徴。2010年代前半のEDMブームを牽引した。


◦ Trap

代表曲:RL Grime – “Core” (2014)

代表的アーティスト:RL Grime(アメリカ)/Baauer(アメリカ)

▶ ヒップホップのリズムを基調としつつ、EDM的なドロップでフロアを揺らす。現在もクラブの定番。


◦ Drum and Bass

代表曲:Sub Focus – “Ready To Fly” (2022)

代表的アーティスト:Sub Focus(イギリス)/Dimension(イギリス)

▶ BPM170前後の高速ビートが特徴。疾走感と高揚感で、海外フェスでも人気が再燃中。


◦ Future Bass

代表曲:Flume – “Never Be Like You” (2016)

代表的アーティスト:Flume(オーストラリア)/San Holo(オランダ)

▶ メロディックなコード進行とエモーショナルな展開で、SNS世代のBGMとして定着した。


◦ Hybrid / Melodic Bass

代表曲:Seven Lions – “Only Now” (2019)

代表的アーティスト:Seven Lions(アメリカ)/Illenium(アメリカ)

▶ Dubstepの低音とTrance的メロディを融合。フェスやTikTokでも感動系Bassとして人気が高い。


◦ Bass House

代表曲:Jauz – “Feel the Volume” (2015)

代表的アーティスト:Jauz(アメリカ)/JOYRYDE(イギリス)

▶ HouseのリズムにDubstep的なベースを組み合わせたハイブリッドジャンル。クラブで盛り上がる定番。


世界のBass Musicが日本へ:来日ラッシュの現在地

ここ数年、日本でもBass Musicシーンが再燃している。

特に2023〜2025年にかけては、Skrillex、RL Grime、Zomboy、Sub Focus、ILLENIUMといった世界的DJが来日を果たした。

東京のZEROTOKYO、WOMB、CLUB Asia、OATHといったクラブではソールドアウトが続出。

また、ULTRA Japan や GMO SONICEDC Japan など大型フェスにもBassアーティストが多数出演し、低音の熱狂が再び広がっている。

SNS上でも《#dubstepjp》《#bassmusic》といったタグがトレンド入りし、若い層の支持が急上昇。

YouTubeやTikTokのリミックス文化も拍車をかけ、日本のナイトカルチャーが再び世界と繋がり始めた。

BeatMagでは最新の来日情報やクラブイベントを随時更新している。

ぜひサイトや公式LINEをチェックしてほしい。

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今“流行ってる”BASS MUSIC

近年のBassシーンでは、「攻撃的」「メロディック」「没入感」の3つがキーワードになっている。

それぞれのトレンドと代表曲を紹介しよう。


トレンド①:ハード/リズム重視のBasslineサウンド

代表曲:Skrillex & Flowdan – “Rumble”(2023)

重く歪んだベースと短いリズムパターンを軸に、圧倒的な音圧でフロアを支配するタイプ。

ロンドン発のクラブカルチャーにルーツを持つBasslineサウンドは、Hard Techno同様に世界中で再燃している。


トレンド②:メロディックBassの台頭

代表曲:ILLENIUM – “From The Ashes”(2022)

トランスのような展開に感情的なメロディを重ねるタイプ。

フェスやSNSで「泣けるEDM」として支持され、女性リスナーからの人気も高い。


トレンド③:Drum and Bassの復活

代表曲:Dimension – “Where Do We Go” (2023)

テンポの速いDNBが再びチャートを席巻。

特にヨーロッパやオーストラリアを中心に、ハードなクラブだけでなくポップアーティストにも採用されている。


まとめ

BASS MUSICは、クラブシーンの“低音革命”として生まれ、Dubstep、Trap、Drum and Bassなど多様なジャンルへと広がった。その進化は止まることなく、メロディックやハードな方向にも枝分かれしながら、世界のトレンドを牽引している。日本でもZEROTOKYOやWOMBを中心に再び熱を帯び、SNS世代が新しい形でBassを楽しみ始めている。クラブでも、イヤホンでも、“体で感じる音”がBASS MUSICの真髄だ

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