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THE FOCUS Vol.3 -DJ SHIGEKI- 過去、現在、未来を深掘りするインタビューシリーズ

今年7月からスタートした新企画。DJの過去から現在、未来の展望について深掘りするインタビューシリーズ「THE FOCUS」。

今回は、幅広い音楽知識と抜群のグルーヴ感で都内のナイトクラブを沸かし、さらに人気アーティスト・MABUのバックDJも務めるDJ SHIGEKIさんにインタビューを行いました。

インタビュー&執筆は、BeatMag編集部のDJ SASAが担当しました。SHIGEKIさんと同い年で付き合いも長いですが、こんなに色々と深掘りしたのは初めてでちょっとドキドキしました。
それでは最後まで是非お楽しみください。

■過去編

・DJを始めたキッカケ 〜 DJデビュー

ー DJを始めたきっかけはなんですか?
20歳位の頃、高校の友達とよくファミレスでダラダラ過ごしてたんですが、ある日、みんなで「今後どうする?」みたいな話になったんですよ。それぞれの将来の夢を語り合って、誰かはサーフィンが趣味で「サーファーになりたい」とか言ってました。僕はクラブが好きで、洋楽もよく聴いてたので、「じゃあ、俺DJやってみるわ」っていう軽いノリで宣言しました。
その時、先輩でDJをやってる人がいて、その人の家に連れて行ってもらうようになって、それがDJに触れるきっかけになりました。

ー 最初に買った機材はなんですか?
高校のバイト先の店長が、誕生日にターンテーブルを一式もらったんですけど、店長自身はDJをやるつもりがなくて。僕が「それ、譲ってもらえませんか?」ってお願いして、7万円ぐらいで譲ってもらったんです。本来はもっと高い機材だったので、すごくラッキーでしたね。それでレコードからDJを始めました。

ー 音楽は元々好きだったんですか?
はい、中学生の頃からずっと音楽を聴いてましたね。Kanye Westのデビューアルバムとか、Sean Paulもよく聴いてました。ちょうどダンスホールが盛り上がっていた時期で、T.Iの『Urban Legend』っていうアルバムもヘビロテしてましたね。

ー 最初はレコードで練習してたんですね?
そうですね。T.IやChingy、Ludacrisとか、当時はサウス系のヒップホップが全盛期で、Pitbullもまだサウス路線で「Bojangles」とか出してた頃でした。そういうレコードを買い集めて練習してましたね。ちょうどSoulja Boyが出てきた時期です。

ー デビューのきっかけは?
デビューは偶然でした。ある先輩が急にイベントに出られなくなって、「シゲキ、出られる?」って連絡が来たんです。それがKENSHIくんのイベントで、Glad(渋谷、現在閉店)っていうクラブで行われてたんですけど、その日は僕もバイトが入ってたので、最後のクローズのパートを担当することになりました。デビュー戦がクローズって珍しいですよね(笑)今思えば、選曲はひどかったかもしれませんけど、Pretty Ricky – Your Body】とかLil Keke – Platinum In Da Ghetto】とかかけた記憶がありますね。

ーそこからどうやって現場が広がっていったんですか?
そこから、ハチさんという方に誘われて、六本木のFLOWER(現在閉店)で木曜のレギュラーをやるようになりました。その後、ESPRIT TOKYO(六本木、現在閉店)というクラブでもDJをする機会を得て、後々Red Bull 3StyleのチャンピオンになったSHINTAROさんに声をかけてもらったんです。当時、SHINTAROさんのことはよく知らなかったので、最初はちょっと不安でしたが、お世話になっていた先輩・DJ SATORUさんに相談して3人で食事に行き、いろいろ話をした結果、一緒にやろうということになりました。それからキャメロットでもDJをするようになって、徐々に現場が広がっていきましたね。

ー 下積み時代は大変でしたか?
正直、下積みってあまりなかったんですよ。トントン拍子で現場が増えていって、23歳から24歳くらいの時期にはDJだけで食べていけるようになっていました。ただ、25歳までに食べられなかったら辞めようと区切りはつけていたので、それが逆に頑張る原動力になっていたのかもしれません。

・MABUさんとの出会い&LIVE中のハプニング

ー SHIGEKIさんはアーティスト・MABUさんのバックDJも務められていますが、MABUさんとの出会いのきっかけはなんですか?
僕も細かいとこまで覚えてないんですけど、共通の知り合いに紹介してもらって、そこで何回か遊んでるうちに、同い年ってのもあって意気投合したんです。それで、MABUが「今後ライブやってく上で専属のライブDJ欲しいんだよね」って話になって、「俺やるよ!」みたいな流れになったんですよね。で、LDH時代も一緒にやってたし、フリーになってもずっと一緒にやってて、もう4、5年くらいの付き合いになりますね。

ー 今までで一番焦ったDJ中のハプニングはなんですか?
MABUのライブDJやってる時に、振動か何かでPCが固まっちゃって、トラックが無音になっちゃって、「やべっ!」って思ってすぐに起動し直したんですけど、その間、MABUはアカペラで何事もなくライブ続けてて。「プロフェッショナルだなぁ」って思いましたね音止まってもアカペラで歌い続けて、俺もすぐ再起動して戻したんですけど、ちょうどそれがバースの部分だったから、フックまでに復活できたんです。だから、失敗しちゃったけど、なんとか持ちこたえたって感じでしたね。

■現在編

・DJ中に意識していること

ー 今、DJ中に意識していることは何ですか?
やっぱりグルーヴを意識してやっていますね。

ー SHIGEKIさんの「グルーヴ感」って、誰から学んだことが多いんですか?
結構自己流ですね。独学と言えるかもしれない。感覚でやってる部分が大きいです。でももちろん、先輩方からも学びますし、後輩から吸収することも多いです。

ー 細かいことはあまり考えないんですか?例えば、「この曲をこの曲の次にかけるとリリックの意味が合わないな」とか。
そこまでは考えないですね。ルーティーンもほとんどないです。基本的にはグループの中で選曲しているので、同じことを繰り返したくない。先週も来たお客さんが同じつなぎを聞いたら、マンネリに感じるかもしれないので。良いつなぎはいいと思いますが、毎回新鮮なDJを目指しています。ただ、それをやりすぎると頭がパンクしちゃう時もありますけどね。

・上手い思うDJ

ー 上手いと思うDJは誰ですか?
今でも一緒にやっている中では、FUJI TRILLくんですね。彼は10代の頃から知っているんですが、カリスマ性が半端なくて、売れるべくして売れている印象があります。選曲のセンスやミックスのつなぎ方に独自のスタイルがあって、見習うところが多いですね。

あとは、個人的に好きなDJとしては、RYOTAさんですね。Circus Tokyoで開催しているイベント「FULLHOUSE」で初めて見た時に、すごくシビれたのを覚えています。Boiler Roomにも出演していて、その出演を機にフォロワーも急増してさらに注目度が上がっていますね。彼のプレイは本当にすごい。

ー SHIGEKIさんは今、業界では中堅の立場だと思いますが、自分より若い世代、例えば30歳以下で上手いと思うDJはいますか?
身近な所で言うと期待の意味も込めてD.A.Iですかね。彼は四つ打ちもオープンフォーマットもこなせるし、スクラッチも上手い。すごく勉強熱心だと思います。

・SHIGEKIさんのプライベート

ー では、普段の生活について教えてください。例えば、毎週金曜日出演しているキャメロットの日はどのように過ごしていますか?
金曜日は昼前くらいに起きて、専門学校でDJ講師をやっています。18時から19時まで授業をして、その後キャメロットに向かいます。時間があれば一度家に帰ることもありますね。

ー 休みの日はどう過ごしていますか?
日曜日が基本的に休みですが、大体何もせずに過ごします。ゲームをしようとしても、結局YouTubeで上手い人の動画を見てることが多いですね。

ー 他に趣味はありますか?
お笑いが好きで、特に「さらば青春の光」にハマっています。彼らのYouTubeチャンネルも全部見ていますし、ラジオもほぼ欠かさず聞いています。彼らが五反田で食事したお店にも実際に行ってみたりして、完全に「さらば巡り」をしてる感じですね。友達が五反田に住んでいるので、一緒に行くことも多いです。彼らが行った場所に自分たちが先に行って、その後に彼らが訪れるなんてこともありましたね。さらばのラジオもすごく面白くて、毎回楽しみにしています。

■未来編

・将来について

ー 将来のDJとしての展望は何かありますか?
なんか良くも悪くも、本当に欲がないというか。今、もちろんやれてることは全力でやってるんですけど、「野望」って言われるとなかなか難しいですね。DJに関してはやれる限り何歳でも続けられたらいいなと思っています。別に仕事としてじゃなくてもいいし、とにかく目の前のことに全力で日々向き合ってるって感じですね。

ー 理想の老後の過ごし方はありますか?
理想の老後ですか。不労所得を得て、ゆっくりしたいですね(笑)

ー 住みたい場所はありますか?
そうですね。でも田舎に行ったら行ったで、たぶん都心が恋しくなると思うんですよ。だから、両方に家が欲しいですね。ちょうどいいバランスを取りたいです。都心の環境に慣れすぎちゃってるから、完全に田舎暮らしというのも難しいかもしれません。

・これからのシーンを担っていく若手へ

ー じゃあ、最後の質問です。これからのシーンを担っていく若手DJに向けて、何か成功のアドバイスはありますか?
DJのスキルを上達させることも大事ですが、若い人なら本当に曲を作ったほうがいいと思いますね。今はDJとして活躍している人がたくさんいますが、その中で自分を際立たせるためにはプロデュース能力も求められています。今の時代は、ただのDJではなくプロデューサーも兼ねたDJが必要とされていると思うんです。ラッパーも次々と新しい人が出てくるので、それに対するビートが追いついていない部分もあると思います。
年齢は正直関係ないと思っていて、DJが上手ければそれで良いと思います。ただ、日本特有の文化やルールもありますから、そこを乗り越えるためにも付加価値をつける必要がありますね。自分をもっとプロデュースする力が重要です。SNSも、インスタグラムやTikTokなど、いろんなプラットフォームがあるので、そういったものを時代に合わせて活用していくことが大事だと思いますね。

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